01 正反対の二人
生まれついた性別が、まず正反対。
内勤だからこそ焼かずにいられる母譲りの白い肌。 日焼けサロンにでも通っているのかと聞きたくなるような浅黒い肌。 真っ直ぐしなやかな髪。癖のある硬い髪。
ハイヒールのパンプスを履いて背伸びをしても、届かない背中。 ふわりと漂わせる香水も、コーヒーの薫りで打ち消されてしまう。
例えば休憩時間。 少しでも早く成長したいと願って専門書を繰る私を覗きにきては マクカップを片手にからかうような言葉を投げてくる。 本気で怒ると、笑われる。 休憩時間は休憩するためにあるんだぜ、なんて、 フルタイム休憩時間みたいな態度のひとに言われても、全然説得力がない。
ハイヒールのパンプスを履いて背伸びをしても、届かない背中。 肩を並べたい、同じ目線で見てもらいたいと願っても、 まだまだ笑っていなされる。
腹を立てる私を見て、あなたがまた笑う。 どうして腹が立つかなんか、私だってわかってる。
認めたくないけれど、きっと、あなただって。
>>02
k*t >>03
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